東松山市制70周年記念動画に出演しています
今回の動画制作に参加できたことを大変光栄に思います。この動画は、地域の方々や関係者の熱意が込められた素晴らしい内容となっております。ぜひ多くの方にご覧いただき、東松山市への愛着を深めていただければと思います。
動画は以下のリンクからご覧いただけます。
"埼玉の真ん中"から新たな魅力を発信!
11月5日(土)6日(日)の二日間、〈音楽+ビール+キャンプ〉を楽しむフェス「麦ノ秋音楽祭」(むぎのとき おんがくさい)が初開催されました。
会場は埼玉県東松山市のCOEDOブルワリー醸造所。都心から44分とは思えない緑豊かな自然の中、音楽とビールを楽しむ大人たちの脇で、思い思いに駆け回る子どもたち。天気にも恵まれ、長閑で優しい時間が流れていました。
[ 次回開催 来年(2022年)5月27日(土)28日(日)で決定!]
*地域活性研究事業として、当研究所も企画・運営に参画しています
公共広報コミュニケーション研究会のインタビューで、京大防災研究所・矢守教授にお話しをうかがう機会をいただきました。下記リンクで公開されています。
【防災広報】矢守克也教授インタビュー前編「〈生活防災〉ふだん→まさかの視点篇」 | 株式会社チーム・エムツー | 地方創生、ライブ配信、動画制作、企画・コンサルティング等 (teamm2.co.jp)
〔内容〕
▼「土手の花見」の挿話
レクリエーションと防災の巧みな重合
川の土手というものは…春に花見をすることで、多くの人による踏み固めや危険箇所の発見という、いわばメンテナンスが、ごく自然にしかも楽しみながら行える…(本文より)
▼〈最適化防災〉の限界
その“壁”を前提に考えてしまっていないか
防災はもちろん生活上の重要な要素・側面ではあるが、それは他の多くの要素・側面の1つに過ぎない…防災と他の生活領域、他の行政分野との間のトレード・オフ(コンフリクト)が、最大の壁になっている…(本文より)
▼「情報と体感のブリッジ」
自分のまちの最大降雨量を知っているか
「災害情報通の人にとってはあたりまえであるがゆえに、案外見落としている重要なポイント」として、「一般の人が〈まさか〉のときだけ情報を見ても、ただ事ではないことを察することは難しい」…(本文より)
▼その土地にとっての大雨
犠牲者数に直結するエビデンス
多くの犠牲者が出たのは岡山県とか広島県とか愛媛県…気象台が出している豪雨の72時間の降った順のトップテンリストを見ると、岡山、広島、愛媛なんてまるっきり入ってない…(本文より)
〈生活防災〉から〈防災広報〉の可能性を展望する
矢守克也『〈生活防災〉のすすめ』より
公共広報コミュニケーション研究会 主任研究員 佐藤 幸俊
■はじめに
「市⺠」(定住人口と関係人口を含む)への、今の時代に即した情報受発信は、単にinformation transmission(情報伝達)であるのみならず、Communication(関係構築)であるべきというのが、私たちが参画する公共広報コミュニケーション研究会の提題です。自然災害大国であるわが国における災害に対する啓発-防災広報-の重要性に鑑みると、これは全国どの地域においても、自治体-市民のコミュニケーションの中でもっとも実際的で代表的なものであろうというのが、防災をテーマとして取り組む契機になっています。
私事に触れ恐縮ですが、2011年の東日本大震災の際は都心で仕事をしていて帰宅難民と化しました。コンビニから食べ物と電池が消え、携帯電話の充電が減っていくのを心細く眺めていました。夜になるにつれて冷え込みが厳しくなり寒さと空腹に震えましたが、何より途方に暮れたのは情報不足だったことが思い出されます。
また私の実家は福島なのですが、震災と原発事故で錯綜した事態の中、家族との思いのすれ違いが度々起こり困惑しました。同じようなことが現在NHKで放映中の朝ドラ「おはようモネ」で宮城県出身の主人公の体験として描かれていましたが、被災した時に置かれていた状況の差異が家族や友人との関係性を変質させてしまうということは、めずらしいことではなかったようです。直接命に関わることではないが故に、あまり語られることがないものの、こうした心の問題は重く残り続け、消えるということがありません。
しかしながら震災という強烈な経験を経て直後こそ、歩行訓練にいそしんだり、備蓄や連絡体制を整えたりしていましたが、時間の経過とともに、ご多聞に漏れず「喉元過ぎれば-」になっている……のが実情でもあります。
こうしたメンバー各個の体験も踏まえ、防災というテーマをめぐる研究会内でのディスカッションでは、主に2つの点について議論が集中していました。
1.情報発信に関する専門家である我々が、防災というきわめて技術性の高いエキスパートの分野に対し、寄与し得るところがあるのだろうかというテーマ設定上の問い
2.普段の情報発信を緊急の情報発信にどう接続していけるかというテクニカルな問い
このような試行錯誤的な状況において、矢守教授の著作と接することで、私たちは2つの問いに対する重要な示唆を受けることになりました。そこで提唱される〈生活防災〉における重要な視点「ふだん」→「まさか」は、私たちのテーゼである〈普段のコミュニケーション構築による緊急時への備え〉と軌を一にし、その必要性を裏づけてくれています。
こうした知見や気づきなどを、教授が〈生活防災〉の主人公という「日常の行政に携わる第一線の自治体職員」の方々と共有したいと考え、今回オンライン・セミナーを開催することとし、セミナーにおける基調講演とパネルディスカッションへの参加をお願いし、快くお引き受けをいただきました。
今回の公共広報コミュニケーションマガジン特別号では、防災特集第二弾として、矢守教授の『〈生活防災〉のすすめ』の内容を引用し、その中心的概念についてご紹介したいと思います。(太字は引用部分)
■〈生活防災〉とは
▼〈生活防災〉の起点
矢守教授が提唱する〈生活防災〉とは「生活まるごとにおける防災、言い換えれば、福祉、環境、教育といった他の生活領域と引き離さない防災」のことですが、同書では、こうした考えに至った問題意識が次のように表現されています。
専門家の眼鏡に適うだけの理想〈最適化〉を目指すアプローチ は、かえって、「そんな難しいことをしなくてはいけないのなら、もう防災のことはあきらめた、運を天に任せる」といったあきらめの態度すら生じさせかねない。(29p)
これまでの防災が「理想的なゴール地点(最適化)を目指す」ことで突き当たっている諸課題に対応するためには「現実的なスタート地点(それぞれの事情)から入る防災への転換」が必要なのだといいます。
-あたりまえのことだが-防災は、人びとの生活における重要な要素・側面ではあるが、あくまで、多くの要素・側面の1つに過ぎないという事実である。防災は、経済(家計)、教育(子育て)、環境(ゴミ出し)、福祉(介護)、娯楽(花見)といった種々の要素・側面が混然一体となった生活まるごとの中に混融しているのである。(29p)
こうした視線の延長線上に、防災における最大の壁が見え始めてきます。それは皆さん方、自治体担当者にとってきわめて馴染みの深い状況なのではないでしょうか。
そもそも、防災の営みが進捗しない最大の要因は、「他のことで精一杯」というしばしば耳にするフレーズに集約されているように思える。「うちは、年寄りの介護で精一杯、来るかどうかもわからない地震のことなんて……」、「うちの町では、ゴミ問題が先決……」といった具合である。つまり、家庭においても行政機関においても、防災と他の生活領域、他の行政分野との間のトレード・オフ(コンフリクト)が、防災を阻む最大の壁として立ちはだかっているわけである。(29p)
▼「土手の花見」
〈生活防災〉を説明するイントロダクションとして、同書ではまず「土手の花見」の挿話が語られます。春の花見が「増水時期を前に必要な土手のメンテナンスを、大勢の人間による踏み固め、あるいは、危険箇所の発見という形で、ごく自然に、かつ、楽しみながら実現しようというアイデア」というストーリーです。
ここで注目したいのは、この工夫が、土手のメンテナンスという防災上の活動と、花見という別の活動、しかも、人びとが進んで参加しようと考える活動とを巧みに重合させている点である。「土手の花見」は、防災という社会的活動を成功させるためには、防災を他の諸活動から孤立させることなく、防災とそれらとを上手に連携させる必要があることを示唆しているように思える。(27p。下線引用者)
そして、前述した「防災の最大の壁」に関して、こう述べます。
他の生活領域、行政分野とのトレード・オフに突き当たって、私たちは、あらためて「土手の花見」の先見性を知ることになる。すなわち「土手の花見」は、ここで言うトレード・オフを前提にしてその制約下で防災の最適化を図ろうとするのではなく、トレード・オフ関係そのものを解消する方向性を示しているのだ。(29p)
だからこそ「生活まるごとにおける防災、言い換えれば、他の諸領域と引き離さない防災をこそ追求すべき」なのだと矢守教授はいいます。
▼5つのエッセンス
同書では、数々の事例を紹介する中から、〈生活防災〉のエッセンスとして5項目を抽出しています。
1.「ふだんの生活」:災害時、緊急時のみではなく、日常生活と一体となった活動としてとらえることが必要
2.「みんなで(コミュニティで)」:〈生活防災〉のほとんどは多くの人びととの共同作業として実現される
3.「繰り返し(毎日、毎週、毎月、毎年)」:安定的に繰り返されている行事やイベントに防災・減災を組み入れる。防災・減災そのものの習慣化を促す
4.「一石二鳥」:“ためだけ”にするのではなく、むしろ防災・減災は「おまけ」ぐらいに思わないと
5.「ご当地主義」:「ふだんの生活」は時代・地域により異なるので、「いま・ここで」にフィットする必要性
私たちの考える「防災広報」においても、これら5つのエッセンスの要点を踏まえ、情報受発信の実践においてはコンテンツのテーマ設定に活かす必要があると考えています。
■災害情報における新たな潮流
同書第3章「災害リスク・コミュニケーションの新しいかたち」では、〈災害リスクと情報〉という本研究会のメインテーマと直接的に関連する内容に触れられています。
言うまでもなく「災害と情報、あるいは、防災と情報は、理論的にも実践的にも不可分の関係にある」わけですが、近年になって登場してきた新しいコミュニケーション様式に注目して、災害リスク・コミュニケーションについて論じています。
▼「ニュートラルなリスク」と「アクティブなリスク」
矢守教授は「リスク」という語を使うにあたって、「ニュートラルなリスク」と「アクティブなリスク」を区別しています。
「ニュートラルなリスク」とは
当事者(人間・社会)の営みとは独立に存在すると想定されるハザードそのものをリスクと呼ぶ場合である。典型的には、ハザードの客観的危険性(たとえば、人口10万人あたりの水害死亡率、今後30年間における××地震発生確率といった危険度データ)をもって、リスクとみなす。(63p)
これに対し、「アクティブなリスク」とは
任意のハザードは、それに対して、何らかのアクション(観測・予測・制御・事前対応等)をもって関与できる人びとにとっては、-どのようにリスクをテイクするか(あるいは、しないか)を選択可能だという意味で-「(アクティブな)リスク」として現れる(64p)
のであり、人びとが「リスク、リスク」と言っているのは、「単なるdangerである」と指摘します。
リスクとは、対象(自然)の側に備わった特性ではなく、それと対峙する当事者(人間・社会)の側が構成する事象(64p)
つまり「リスク」とは、たんなる「アブナさ」ではなく、主体的にコントロールしようとする意志を前提として使う言葉だというわけです。
一般的に「リスク」という語でイメージしがちな「ニュートラルなリスク」と従来の災害情報とは親和的であったと矢守教授は言います。
もう少し踏み込んで言えば、従来の災害情報は「ニュートラルなリスク」の伝達とほとんど同義(64p)
でした。そして従来の災害情報が「一方向的伝達」「数値情報(が多い)」「総体的情報」という3つの特徴と対比し、「アクティブなリスク」(つまりリスクマネジメントが可能な取り組み)に必要な「災害リスク・コミュニケーションの新しいかたちを模索する動き」(=トレンド)を、「個別化」、「主体化」、「可視化」、「日常化」の4つのキーワードで整理しています。
▼4つのキーワード
前述した〈生活防災〉の5つのエッセンスと併せて、この4つのキーワードは私たちの〈防災広報〉を構築するためのもう一軸であると考えることが出来そうです。
▼〈生活防災〉の考え方を活かした〈防災広報〉ツール構築における2軸
■おわりに
同書を読み終えて、おそらくは、矢守教授が幾つもの震災・災害に際しての具体的な行動の中で、課題に向き合ってきた研究者としての思索の遍歴を経てたどり着いたのが、この〈生活防災〉なのであろうと感じました。
「生活+防災」けっして難しくはない単語の組み合わせによるテクニカルタームですが、ひと目で分かりやすく、かつ説かれて腑に落ちる。そうした深さと広がりを持つ、きわめて実用的な概念です。
「土手の花見」の引用部で下線を引いた「防災という社会的活動」という目線は、防災に携わっている人には当たり前のことなのかも知れませんが、私のような門外漢にとって、それを読んだときに、目からウロコの思いでした。
防災は自然災害という一過性の現象への対応ではなく、継続的な社会的活動の一環という捉え方・認識に立つならば、それに関わる情報の受発信を〈防災広報〉として、市民に対しどういう言葉で語りかけるべきか、どういう場と機会で情報を発信していくべきかを考えることも、防災における重要な取り組みであるとの確信を強くしました。
「密を避ける・非接触」の工夫/コロナ禍だからこその防災広報を考える
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公共広報コミュニケーション研究会の大きなテーマは、われわれが今直⾯している〈ウィズコロナ時代における情報発信〉です。
市⺠への新たな〈今に対応する情報受・発信〉は、information transmissionに留まらず、Communication(関係構築)であるという観点から、防災というテーマに注目してみたいと思います。
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近年の災害多発の状況を反映し、また東日本大震災から10年の節目の年ということもあり、防災に対する関心は高まる一方だ。折しも、5月20日より改正された災害対策基本法が施行されたが、緊急時における具体的な行動をイメージしやすくするため、避難情報の呼びかけを一新する等の内容を含んでおり、一般への周知・定着は喫緊の課題である。
こうした状況を踏まえると、防災-啓発という視点は自治体の情報発信において、いよいよ重要であり、本研究会でも「防災広報」というテーマについて、調査・研究を進めていきたいと考えている。
ひとくちに防災と言うものの、都心の区にとっては帰宅困難者対策であったり、海岸のまちにとっては津波対策であったりと、自治体の置かれている環境によって課題感や力点が異なるのは自明のことだ。そこで定量調査に先立って、まずさまざまに立地の異なる5つの自治体に話を聞いた。(令和3年4月時点)
|
都心からの距離 |
人口規模 |
|
A区 |
10km圏内 |
35万人 |
特別区 |
B市 |
30km圏内 |
130万人 |
政令市 |
C市 |
40km圏内 |
20万人 |
ベッドタウン |
D市 |
50km圏内 |
10万人 |
近郊都市 |
E市 |
約150km |
10万人 |
地方都市 |
■課題は〈到達〉と〈理解〉
5自治体に共通して感じたのは、行政が発信している情報が、届いていないのではないか、伝わっていないのではないか、という懸念だった。
水害が大きなテーマである自治体は、雨の季節に向けて、5月の広報誌で特集を組む。別の自治体では、自助促進に向け、土嚢の作り方をYouTubeに上げるなど、さまざまな機会を通じ、さまざまな手法を用いて、情報発信に努めている。SNS等の新しいツールの導入にも積極的だが、市民の登録が伸びないことに課題を感じているという声は多かった。
またある自治体では、ハザードマップを新たに作り、家族で話し合うための素材として活用してほしいと考えている。これは、緊急時には「子どもにも理解されていること」が命を守るために重要という、きわめて実際的な視点に基づく。
■“オンライン”の壁
コロナ禍においては、さまざまな活動やイベントが、実施に制限があったり、開催できなくなったりしている。そのため、啓発活動の中でも重視すべき訓練系の活動をオンラインで行う等の新たな取り組みも始まっている。
これらに対しては、「必要である。良いと思う」と回答する一方、「救命等、実地に行なわないと身につかないのでは」といった懸念もあると、アンビバレンツな様子もうかがえた。
聞けば、職員の勤務態勢も一時は交代制や時差出勤、オンライン等の対応にしていたが、現在は、ほぼ元通りになっているという。行政には対面重視にならざるを得ない事情もあるため、組織としてオンラインが浸透していくのには、もう少し時間が必要であろうが、職員としては現状を憂慮されている方もいると思う。公務員の健康維持は、前提的に市民への責務の一端であるともいえる。
どういった形でオンラインを業務に取り入れていくのが望ましいのかについては、今後引き続き、広く事例を集め、共有していきたい。
■密を避ける・非接触の工夫事例
コロナ禍だからこそ、より一層クローズアップされている考え方もある。在宅避難やローリングストックといったこともその一つだ。
今回のヒアリング先ではないが、東京都板橋区では、密を避けつつ防災意識の啓蒙を図る取り組みを、区内の事業者と協働し行った。
在宅避難への備えを具体的に充実させるため、区内のショッピングセンターを会場として、防災用品の購入促進キャンペーンを展開したものだ。
このような展示を主とするプロモーションは、接触を減らすと考えられるため、現在、民間でも多くみられる手法となっている。
また、これまで実施上の事情により、パフォーマンス的になりがちだった防災訓練も、実効を重視する方向で考えていかなければならないという声もあった。
施策の効果を求める新たな取り組みを探る動きは、ウィズコロナ/ニューノーマルといわれる状況の中、各地で進んでいると思われる。そうした事例を収集・共有することにより、市民・区民との情報コミュニケーションの質の向上に寄与できればと考えている。
公共広報コミュニケーション研究会 主任研究員 佐藤幸俊
地域を持続的に発展させるための取り組みとして、自治体などで行われている“シティプロモーション”を、的確に評価し顕彰する「シティプロモーションアワード」の応募申し込みが令和3年6月5日から開始となりました。
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